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ツキモリの吽 file 3

『家(うち)と暮らせば』を観覧して

“家で暮らせば”ではなく、

“家に暮らせば”でもなく、

“家と暮らせば”である。

真に“家と”だなぁーと感じたダンス公演でした。

観劇の為だけの劇場空間ではなく、演者が寝起きしている自宅。築90年のその古民家をリノベーションし『家劇場』として舞台にしてしまったのです。

正面玄関ではなく、裏の勝手口が劇場の入り口になっています。細い細い路地を入っていく時、なんだかお客というよりも旧知のご近所さんの仲になっている気がしました。

唐突に襖が開き家主(演者)が入ってくる。仕事帰りか。さっそくトイレに入る家主。観客は若干の気まずさから、ゆっくり揺れているコートを眺めながら背景に同化する。

ラジオが点く。日本放送のあの聞き慣れた前奏。どうやら家主の投稿が採用されたらしい。感情の高揚がダンスとなって徐々に熱を帯びてやってくる。

本棚にしていた木枠3コをとりだし、モノとカラダが新鮮にたわむれるパフォーマンス。ただの木枠が幾何学模様に踊りだす。全身を投げ出し、畳を転がり回り踊る時、それを受け止める空間をも含め、家と踊っているようでした。

公演が終わってみると、ものすごく濃厚な時間を過ごしたと思いました。クラシックバレエの枠を超えたダンサーとしてだけでなく、デザイナーであり、ディレクターでもあり、建築家でもある。そしてこの『家劇場』という場の生活者。その蓄積された時間と、隅々まで行き届いた神経が、ミニマムな6畳2間の舞台で、日常の果てに“踊り”となって爆発したのでした。

moriyan

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