行きつけの漢方薬局の先生が「漢方が手元にない時は、お白湯もお薬になるのですよ」と話していました。
白湯はおくすり⁉
1990年代、“病気の原因は水不足にあった!”と、肥満、関節痛、高血圧、コレステロール、腰痛、リウマチ、癌、エイズ、心臓病、胃痛、潰瘍が水を飲むだけで治せると唱えて、大ブームとなった、バトマンゲリジ医学博士(注)の新療法がありました。
賛否を巻き起こしましたが、私は博士のこの言葉に注目しました。
「喉の渇きという信号は、極度の水不足が発する最後のサインであり、喉の渇きを示さない段階ですでに慢性水不足が起きているのである。」
この本が日本語にも訳された時期から、メディアで特集されたり、積極的に水を飲む習慣が増えた人が日本でも増えたと思います。
私の経験でも、高齢者の方はきちんと水分を摂ることで、鍼灸治療の効果も良くなる実感があります。子どもも水分補給を多めにすることで、発熱を予防したり、治りが早くなります。
若い患者さんでも、心当たりのない体調不良を訴えて来院すると、頭痛、筋肉痛、胃もたれ、皮膚トラブル、などの原因のひとつが“隠れ脱水”という可能性がありました。
経絡を診ると、循環器系をつかさどる心包・三焦系が弱っている事に気づきます。
水分補給を習慣にすると、真夏は冷たい炭酸水を求めていた身体が、秋になると白湯を美味しいと感じるようになりました。
冒頭の漢方の先生も「漢方薬でもその時の体が欲するものを美味しいと感じる」との事です。
10年前頃から、身体の不調に気づいた、もしくは整えたいと感じる時の朝は、季節問わず、早めにお白湯を飲むようにしてきました。
我が家では、毎日ではありませんが、朝一に南部鉄器のやかんでお湯をよく沸かし、竹のコップに入れてチビチビ呑む時があります。15年以上使っている鉄器ですが、水の塩素除去効果が高く鉄分も補給できます。
どんな日にお白湯飲むのかというと、風邪を引きそうな嫌な予感がする時、頭痛がする時、腹痛がある時。寒気を感じる時、寝不足で頭も身体もぼぉ~として重だるい時。あるいは、お酒を飲んだ、カロリー高いものを食べ過ぎた翌朝などです。そこで、お白湯をすすりながらコップ一杯飲み終えると内臓からじんわり温まってきて、体調が良くなりリセットされる。心身がスッキリする、やる気が湧いてくる、体が動きやすくなる。また胃腸が働き始め、お腹がすいてきたり、便通が良くなる。肌の調子が良くなる。気持ちが落ち着く。等・・
調べてみると、日本人は諸外国の人に比べて、からだが冷えやすいという特徴があるそうで、白湯はこの体質にとても合っているそうです。民族的にも胃腸の力が弱いのに加え、冷たいものの食べ過ぎ・飲みすぎ、動物性脂肪の高いものの過食、人工的に精製した食品の影響により、からだ全体が冷えやすくなるのです。
冷えがあるのは、若い女性や痩せている方、高齢者だけではありません。例えば「自分は暑がりだ」「体温が高いほうだ」と思っている方、肥満傾向がある方も 「隠れ冷え症」の場合があるそうです。
白湯を飲み続けることで、毒素や老廃物を胃腸からきれいに洗い流してくれるので、浄化を手助けしてくれます。そして胃腸が温まると全身の機能が活性化し、消化力・代謝力・免疫力が高まります。誰しも本来備わっている自然治癒力が底上げされるでしょう。
お白湯を飲むことは、冷え取りと脱水予防の両方が出来る優れた習慣ですが、どんなに効果的な方法でも、個々人に合う合わないがあると思います。冷えとりに関しては、有効な方法がまだまだ沢山ありますので、つづけて提案させて頂きます。
tsukiyan
(注)
F.バトマンゲリジ
医学博士。1931年イラン生まれ。ロンドン大学に学びセントメリー病院医学校で医師免許を得る。帰国後にイラン革命に巻き込まれて、獄中で患者の診察に当たる。薬が使えない中で、胃潰瘍に苦しむ囚人に水をコップ2杯飲ませただけで癒したのをきっかけに、水だけで3000人の患者を治療し続けた。革命後、アメリカに移住して、水の治療効果を医学的に調べる頭脳集団「シンプル・イン・メディシン財団」を設立、医学と生理学と臨床面から水の薬効を解明し、水に秘められた治癒のメカニズムを体系化した。この新しい医学上のパラダイムを大衆に浸透させるべく、グローバル・ヘルス・ソルーションズを設立、著書とビデオによる普及に努める。著書はアメリカから世界に大反響を巻き起こし、100万部を突破、代替療法の世界に飲水療法の大ブームを巻き起こしている。2005年に死去。
〈参考文献〉
バトマンゲリジ,F(著)・林 陽(翻訳)『病気を治す飲水法』中央アート出版社、2018年第五刷発行。
蓮村誠(著)『病気にならない「白湯」健康法―1日3杯飲むだけで、免疫力が一気に高まる』株式会社PHP文庫、2015年第五刷発行。
蓮村誠(著)『日本人の9割は冷えている―免疫力、消化力、寿命を左右する〈冷え〉』株式会社新潮社、2011年発行。
進藤義晴(著)『病気にならない「冷えとり」健康法―温めれば内臓から元気になる』株式会社海竜社、2009年第七刷発行。

